解決事例85:余裕はなかったが母と兄への援助のために借金を繰り返したことで借金が増えてしまい、自己破産をすることになった事例

依頼者の属性

佐賀県 武雄市 在住

60代 男性

借 金 約630万

借 入 11社

借金をした理由

彼は兄から生活費の援助を頼まれたことがきっかけで借金をするようになりました。
当時、兄は母の介護をしており、仕事ができる状況ではありませんでした。そのため、母の年金だけでは生活することができず、彼に援助を求めてきたのです。彼は自身の月々の収入で生活していくのが精一杯で援助するような余裕はありませんでした。

ですが、母の介護を兄に任せており、そのために生活が苦しくなってしまった兄をほってはおけず、借金をして援助をしました。

その後も、兄と母の生活状況が改善しないため、彼は定期的に援助を行うようになりました。そのため、借金が徐々に増えて行きました。

そして、母が亡くなり、葬儀代費用を借入し、続いて兄が亡くなり、葬儀費用のために、また借入をしました。

最初は夜もバイトをし、生活費を削って、なんとか少しずつでも借金の返済を頑張っていましたが、返済できる借金額は利息ばかりで、借金はなかなか減ることはありませんでした。

そのような中、働き方改革によって、残業時間がなくなり、収入が減少し、生活すらままならなくなってしまいました。そこで、借金を返済することはもう難しいと考え、自己破産をして、生活を立て直したいと当事務所に自己破産の相談にお越しになりました。

当事務所の活動

彼の月々の返済は15万円ほどになっており、返済してしまうと給料が全てなくなってしまう状況でした。とても支払うことができる状況ではありません。

そこで、生活を立て直すためにも自己破産をしたほうがよいだろう、と伝え、自己破産で依頼を受けることとなりました。

まず、彼はとにかく借金の請求に困っていたので、各債権者に受任通知を送り、借金の支払いを止め、給料を生活費に使えるようにしました。そして、借金の返済に困らない状況にして、徐々に自己破産の準備を進めていき、申立てを行いました。

結果

彼の借金は、兄や母への生活費の援助、葬儀代、返済のための借金が主で、特に免責不許可事由に該当するような事情はありませんでした

ですが、兄名義のままになっている不動産がありました。

亡くなった兄名義のままになっている不動産は遺産分割未了の不動産といい、相続人が遺産分割の協議を行い、誰が不動産を相続するかの話し合いが済んでいない状態の不動産がありました。

この場合、遺産分割をしていない不動産は、法律上の相続分で各相続人が共有していることになります。そのため、名義が兄名義のままであっても、実質は不動産を共有という形で所有していることになります。

自己破産を申し立てる場合、不動産を財産として持っている場合、管財人が選任されます。不動産という一定の価値をもつ財産を持っている場合、管財人がその財産の処理を行うためです。

そのため、今回は実際には財産と呼べるものはありませんでしたが、不動産を共有している状態であったため、管財事件となってしまいました。

もっとも、それ以外特に問題はなかったため、管財事件にはなりましたが、最終的には無事免責が認められました。

介護のために働けなくなり、生活困窮者となってしまい、借金をするようになってしまう方は一定数いらっしゃいます。
他人事ではなく、みなさまにも起こり得ることです。
そのような事態となり、自己破産をすることにならぬよう、きちんと将来の両親の介護のことから目を背けず、兄弟姉妹で話し合いをして、準備しておくようにした方がよいでしょう。

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